「くたばれ、眼鏡情報!人まね禁止」
書いてるやつらも素人だ!大丈夫!書を捨てて街へでよう」
            
                 番外編

連休はいかがでしたか。わたし?9日連続で働いておりました。
カップルもたくさんご来店いただき、店内はまさに「春爛漫」でございました。
ああ、そうです。ゴールデンウイークといえば・・・・・・今でも涙ぐむような、苦い思い出がありまして・・・・

今から33年前,まだニキビはなざかりの高校2年の春、ゴールデンウイークを前に 
私は学校の教室で友人相手に意気揚々と自慢話をしておりました。

「俺、今度の休み、女の子の紹介やねん。」
今の合コンと違って、当時は1対1で会うことが多く、「紹介」と呼ばれていました。
自慢気に話す私に、友人は羨ましがることしきり。
飯おごるから何とか2人ずつにならんか、とたのまれるしまつ。

フフンと軽く鼻であしらっていたその時、横で話を聞いていたもう一人の同級生が、
「オイ、お前 今の話に出てきたA子て、Y中学のA子ちゃうんか?」
そうや、と告げると、その同級生は「俺、Y中や。あいつのことやったらよう知ってるで!」

私は驚き、そして高ぶる気持ちをおさえきれずに、
「どんな子や!どんなタイプや!芸能界で言うたらだれや!誰に似てんにゃ!」 
すると その同級生は、じっと私を見つめて 優しい微笑みを浮かべながらも はっきりと 
「機関車。」

この一言で、楽しいはずの連休は暗転。それでもあきらめ切れない私は
彼の顔を上目づかいで 覗き込みながら、喉の奥から搾り出すような声で、
「あの・・機関車て・・・電気きかんしゃ・・・」 「ううん、蒸気機関車。」 

さっきまで鼻であしらってた友人のほうを振り向いた私は、間髪入れずに
「ついてきてくれ」 
「なんでいかんなんねや!」
「轢かれたらどうすんのや!たのむ。飯おごるから、人助けやおもてついてきてくれー!」

かくして、楽しいはずのゴールデンウイークに 男2人、女1人の奇妙な紹介となったわけです。
当日、暗い気持ちで 喫茶店の硬い椅子に座って待っていた私たちの前に、彼女は現れました。

そして、その顔を見るなり、友人は ポンと膝をたたいて、
「けだし 名言〜!」 
すると、その子は 「けだしって何ですかぁー」と言うなり、
鼻から蒸気を吹いていました。

ゴールデンウイークの季節になると、思い出したくないのに体が勝手に思い出す、
悲しい高校生活の1ページです。    続く。