「メガネ越し、傍目八目(おかめはちもく)、右も左もぶっ飛ばせ!」


         功をみせない男のかっこよさ


今、議員さんの出ているテレビを見てて、
「何とかして自分の意見を述べて相手より有利にたとう」としておられます。
まあ、討論なんだから仕方がないのかもしれませんが、
皆が同じ口調で喋ってる時、自分も同じようにかぶせて、
または同じようにかぶせられて、これって見ている方にしてみたら、
言ってることが違っても「皆同じ」に見えるし、
だいいちバカに見えてしまうことぐらい、あの連中わからんのでしょうかね。



チョット工夫すれば、あんなに大声張り上げずにかぶされもせずに、
ちゃんと自分の意見を言えて、なおかつ、おしゃれに目立つ。
功をあせるとこれが出来なくなる典型ですね。



昔、私の父の友人で今はもうお亡くなりになりましたが、
福井県の日赤病院の理事長をされておられた先生がいらっしゃいました。
京都大学医学部出身、大学時代はラガーマンとして活躍、
お年を召されても白髪の颯爽とした紳士でした。
ところがこのセンセ、無類の遊び好き、
京都へ来たら、うちの親父をさそって先斗町へ直行されるようなお方でした。
(ただし、福井県では駅に着いてどんなタクシーに乗っても、
その先生の名前を言っただけで、家の前まで着くというぐらいの名士でした。)



そのセンセが、70年代半ばに突然、
さかんに東南アジアに旅行に出かけられるようになりました。
あまりの頻繁さに、時の福井県知事が心配半分、怒り半分で
なんとその先生のパスポートを取り上げてしまったほどでした。



それでも渡航は続きました。しかし、不思議なことにそのセンセ、
渡航のたびに、小型テレビなどの家電品をもてるだけ持っていくのです。
あまりのことに税関の職員が「なんで毎回、こんなのもちだされるんですか?」
と聞くと、センセはにっこり笑いながら「女買いに行くにゃ」



今なら単なるセクハラエロ医者ですが、
しかし本当はそうではなかったのです。
覚えておられる方もいらっしゃるかもしれませんが、
その当時、日本は,いや世界中が石油ショックの嵐に見舞われていました。
スーパーマーケットでトイレットペーパーや紙おむつが取り合いになり、
不況とともに列島には暗雲が立ち込めていました。




医療の現場もその影響は大きく、福井県でも医療用の脱脂綿が不足し、
各病院は窮地に立たされていました。そこでこのセンセは自らの人脈を生かし、
東南アジアの業者のボスのところへ何度も出向いて、
何とか福井県の病院に脱脂綿の供給が出来るように、
誰に頼まれたわけでもないのに頭を下げてまわったのです。




日本の家電品は、もちろんむこうでは、憧れの商品、
そうです。日本から持ち出した家電品は買春のためではなく、
困っている病院に脱脂綿を供給させるための業者のボスへの貢物だったのです。




私はこの話を思い出すたびに、
「男の品格」いう言葉について思いをめぐらしてしまいます。




今、テレビに出て、口角泡を飛ばして自分達を売り込んでいる議員さんに、
同じ事を求めても無理なのはわかっていますが、
ほんの、ほんの少しだけでも
この先生のような正義感と、男の色気を感じさせてくれる人が、
次の選挙で一人でも多く、当選してくれたら・・・・と思います     


              続く。