「メガネ越し、傍目八目(おかめはちもく)、右も左もぶっとばせ!」




ずっと前の話。とある落語家の酒席で
上方の若手の落語家が泥酔した上
東京の大先輩の落語家に「あんたの落語はホンマ素晴らしい。
せやけどあんたは、落語以外でなんでマスコミに出ては
あんなくだらん事ばっかり喋るや。
金のためか?そんなに困ってんにゃったら
贅沢はようささんけど食べるぐらいやったら面倒見たげる。
そやしあんたは、もっと落語だけに気を入れなはれ!」



凍りつく酒席。むろんこの師匠にそんな言葉を投げつける落語家は
東京で大師匠と呼ばれる人でも、一人もいない。



その時、この師匠、「まあ、俺もいろいろあってなぁ」
と、咎めもぜず笑っているだけ。



そしてお開きの時間となった時
「あの男はなかなかたいしたもんだ。いいかお前ら。
今後あの男と関わる時は、決して失礼のないように」
一門の弟子達に申し渡しました。



つっかかった若手の落語家は当時の名を桂べかこ
ご存知桂南光
そして弟子達に申し渡したその人は、立川談志



つっかかった南光さんもすごいけど
談志師匠の貫目には、恐れ入るばかりです。合掌。