「メガネ越し、傍目八目(おかめはちもく)、右も左もぶっとばせ!」



あけまして、おめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
いかがお過ごしのお正月でしたか?
私はいつものように・・・・浸っておりました。



昨年もいろんな方が神に召されましたが
年末にゴルフ界のドン、杉原輝雄さんがお亡くなりになられました。
この方の思い出をひとつ・・・。



喪主を務めておられたご長男もプロゴルファー。
お父さんと違ってなかなか勝ち運に恵まれず
苦闘のプロ生活をおくってられた若手の頃の話です。



1991年の関西オープン。久々に首位戦線に躍り出た息子さんは最終日を迎え
夢にまで見たプロ初勝利も目前。ところが彼に並びかけて来た男がいました。
なんとそれは父親でした。



一組前にホールアウトした父はラスト3ホールを連続バーディーで上り、
息子とトップタイ。18番ホールのグリーン周りのバンカーのそばには
友人とおぼしき方と並んで腕組みをしながら待つ父親
いやライバルの姿がありました。
その時の模様を取材していたスポーツ記者は
「この人は鬼か」と思ったそうです。




そして程なく息子のボールはグリーン手前のラフへ・・・・
このサードショットをよせてワンパットのバーディーとしなければ
父親とのプレーオフ。百戦錬磨の父と未勝利の息子では結果は目に見えています。



そして注目の第三打。父はじっと腕組みをしたまま見つめています。
そしてアドレスが決まり、ピッチングウエッジが振り下ろされた瞬間
組んでいた腕がほどかれて父親は叫んでいました。
「よし!うまい!」ボールはピンそば1メートル。
最後のパットでボールがカップに消えた瞬間
父とその友人は満面の笑みで抱き合い
息子の勝利を我が事以上に喜んでいました。
父親の姿は、その模様を追いかけていたNHKのカメラにより
全国に流れました。


長い間おつかれさまでした。