「メガネ越し、傍目八目(おかめはちもく)、右も左もぶっとばせ!」




オセロの中島さん、うまく連れ出されたみたいですね。
しかし、はたから見たら
「前世が卑弥呼で守護神がココ・シャネルてゆうてる人間に
なんでだまされるやろ?」
不思議に思う人も多いと思いますが
一昔前のバブル時代を思い出してください。




土地の価格は絶対に下がらない、株価は未来永劫上り続け
新入社員を獲得のため入社前に海外旅行に連れていく。
今、こんなこと考えてる人いますか?
でも、そのときはみんな信じてたんですよ。




中島さんは占い師に洗脳されたけど
バブル時代は国民の大多数が社会情勢に洗脳されてました。
一緒ですよ。




私の高校からの友人で、建売屋さんがいます。
不動産屋ではなく、土地を購入して造成して
住宅街を作って売りだすというスケールの大きな仕事です。





三十五年ぐらい前でその業界では
京都で三本の指に入るぐらいの大きさでした。
ところがバブル時代を迎えたときに、妙な状況が現れました。
すなわち造成して家を建てて売り出さなくても
勝手に土地の価格が上っていくという状況です。





京都の三本の指の残りの二本をはじめ
多くの同業者はいくらでも融資してくれる銀行から金を借り
土地を買いあさりました。絶対に下がることがないという神話を信じて・・・・。




私の友人も乗り遅れまいと必死でした。
しかし、その行動に待ったをかけた人がいました。
社長、すなわち父親です。



「親父、こうこうこういう理論で土地は下がらない
ライバル会社に追い付け追い越せで・・・・」
ところが父親は頑として首を縦に振りませんでした。
理由はただ一つ。
「こんなんおかしい。我々は昔から土地を買い
造成して家を建てて、それを売って仕事としてきた。
どんな理論か知らんが、そんな世の中がいつまでも続くはずがない。世の中がおかしい」
鶴の一声で、家を建てる以外の土地の購入、そのための融資をやめました。




今、京都の三本の指のなかで残っているのは彼の会社だけです。
多くの同業者も同じような末路を辿りました。
理論ではなくて「仕事とはこうあるべきだ」
という彼の父親の冷静な判断と道徳心が会社を救ったのです。




何かすごく魅力的で、信じても決して裏切らないようなものに出会ったら
一度自分を鳥に変身させてください。
そして上空から広い範囲で眺めましょう。
結論は舞い降りてからくだす。
わからなければわかるまで、何度でも飛び立つこと。
答えはそれからです。    


                    続く