「メガネ越し、傍目八目(おかめはちもく)、右も左もぶっとばせ!」




坂田師匠を語ろうと思ってましたが
米朝師匠の訃報が入りましたので今日は追悼ということで。




私の友人の元タレントで今、割烹店の女将をしておられる
村田加陽子さんという方がいらっしゃいます。
ときどき「雨上がり食倶楽部」で
料理の講師として出演されておられます。




その昔、「梨木加陽子」(本名)という名前で
お昼のワイドショーの司会などされておられたんですが、
その方がなんと米朝事務所所属。
後にも先にも女性はこの方一人だけでした。




十年ほど前に一度、女将のお店に米朝師匠がお越しになられました。
そうとは知らずに、あとから店に立ち寄った私は
「森さん、こっちお座り」
女将に呼ばれて、いつものように何気なく席について
何気なく横を見たら隣に人間国宝




びっくりして立ち上がった私を女将さんが
「師匠。友達の森さん。こちら・・・・知ってるな」
知らいでか!
すると米朝師匠があの笑顔で
「そうですか、どうぞお座り」
「恐れ入ります!おじゃまします!」





直立不動の状態から座らせて頂きました。
初めは緊張して、何飲んでるかわからんような心持でしたが
師匠のあの語り口を聞いているうちに
ものすごく上品な長屋の大家さんの横にいるような感覚になって
何だか自分が落語の世界に迷い込んだような想いになったのを
昨日のように思い出します。
私にとって忘れられない貴重な時間となりました。





少し前に、女将さんから米朝師匠の容体が芳しくないことを聞かされており
いつかこの日が来ることはわかってはいました。
でもざこば師匠の「きれいに、じょうずに逝かはった」の言葉を聞いて
本当に良かったと思いました。





米朝が亡くなられたことで、これからの上方落語界も大変とは思いますが
師匠が生前にじゅぶんに耕し、いい種を播き
大切に育てた何十、何百の大きな幹が間違いなく
これからの上方落語界を支えていくでしょう。





米朝師匠、お疲れ様でした。合掌。