二十世紀における最高のアスリート、モハメッド アリが神に召されました。
このブログは今から九年前の十一月に私がオーナー日記に載せさせて頂いたものです。
今日、もう一度 読み返してみたいと思いましたので・・・・






ボクシング界において、「強さ」だけを誇る王者は数多く存在しました。

もちろん今も存在しています。しかし、「ザ・グレーテスト」とよばれるのは、

今も昔も 「モハメド・アリ」ただ一人です。


蝶のように舞い、蜂のように刺して強敵を倒し続けたこの不世出のアスリートは

数多くの輝く戦績とともに、彼の人生そのものが人々に深い感銘を与えています。

第二次大戦後を象徴する人といえば、おそらくビートルズとアリでしょう。

その昔、作家の野坂昭如さんが、日本の戦後を象徴する人として 

「三島 美空 長島」と言われましたが、それの世界版ですね。



アトランタオリンピックにおいて、パーキンソン病に犯された震える手で、

聖火をともしたその姿に、会場の全ての観客が立ち上がって

「アリ、アリ」と叫び続けた場面を 憶えておられる方も多いと思います。



そのアリがある日、ハーバード大学の卒業講演に招かれました。

以下はその時のハーバード大学の教授が語ったものです。



「その時、アリはすでにパーキンソン病が進行して失語症にかかっていた。

だから、私と彼は講演の草案を前もって作った。

私が彼に「盲腸」という言葉を教えると、

「おまえは、よくそんな長い言葉が憶えられるな」と、いたずらっぽく笑っていたよ。」


「講演が始まり、彼はその震える手で原稿を持ち、

不自由になったその口から、言葉を搾り出すようにして卒業生に語りかけた。

内容は「受けた教育を社会のために役立てるように」という話だった。

公演が終わると、2000人の学生達はスタンデイングオベーションで、

アリに感謝の意を表した。」



「その時、感極まった卒業生の一人が「チャンプ!即興で詩を!」と叫んだ。

静まり返る2000人の学生。するとアリは、しばらく考えたあげく、

じっと前を見すえて、ひとつの言葉を彼らに贈った。

「 ME,WE 」  俺、俺たち。



「私は今まで有史以来、この世で最も短い詩は「微生物の古代記」に書かれてある

「アダムは男であった」であると教えられてきた。

しかしこの時、世の中にそれより短い詩が存在することを知った。」



「 ME,WE 俺、俺たち。たった単語2文字。

しかし、何と味わい深い言葉なのだろう。

とてつもなく偉大な男、それがモハメド・アリだ」


2007年 11月1日







神様が二十世紀の人類に送った最大、そして最高の光は
モハメッドアリという姿を通して、私たちを照らし続けました。
そして その役目を終えた光は、アリという姿と共に神のもとへ帰ってゆきました。




何も不思議ではなく、悲しいことでもありません。すべては完結しただけなのです。
モハメッドアリ 私たちは幸せでした。ありがとう。