「メガネ越し、傍目八目(おかめはちもく)、右も左もぶっとばせ!」




勝ったと思った。貰ったと思った。三十秒余り夢を見た。
日本で競馬がはじまって百年近く、多くのホースマン達が「夢のまた夢」
とあこがれてきた凱旋門賞において
日本のサラブレッドが遂にその頂点に立ったと思った。




栗毛の馬体が、フォレスストレートから四コーナーの大外をカーブして直線に入り
前を行く先行馬を持ったままでとらえにかかった瞬間
私は声をあげて、思わずテレビのまえで立ち上がった。




残り300メートルで、彼は完全に抜け出した。
英2冠馬も、仏ダービー馬もはるか後方に置き去りだ。
全身に鳥肌が立った。遂にこの瞬間がやってきたと・・・




しかしゴール前200メートルで、彼は内へ内へとよれていく。
そのすきを突いてゴール前20メートルで
ペリエ騎乗の伏兵ソレミアによって、私は現実に引き戻された。




オルフェーブル2着。なぜかこの瞬間に、私の頭の中で
今まで見てきた幾多の日本の名馬たちを思い出していた。
昔と同じように、いまだ日本のサラブレッドは道半ばなのだろうか。
いや、ちがう。間違いなく日本の彼達は強くなった。
それも世界と互角以上に戦えるほどに。
ここ数年で必ず日本のサラブレッドがロンシャンにて
ウイニングランを見せる日がやってくる。
その思いを強く強く感じた凱旋門賞でした。



オルフェーブル、そして関係者の皆さん御苦労さまでした。
無事にお帰りください。



psそれにしても池江調教師のレース後のコメント、立派でしたね。感激しました。